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「読書記」カテゴリのアーカイブ

2007年09月12日

「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」を読んだ

対談はそれなりに面白かったし、ひろゆき氏のweb2.0やメディアに対する見方は賛成できる点もあり反対な点もありという感じだったけれど。総合的には「なんだかなぁ」というのが率直な感想。

大きく気になった点が2つ。

P38~P39 [2.0] ITのウソより。

『ウェブ進化論』の梅田さんに対して、カリスマプログラマーである小飼弾さんが、ブログ上で、「それで、梅田さんは、『はてな』でどんなコードを書いたの?」という反論をしていました。僕もそれだと思うのです。

404 Blog Not Found:君たちの感動的なお言葉を読めばすぐわかるけど、この発言をしたのはmalaさんだ。弾さんは、これに対して「梅田望夫は、株式会社 はてなのコードを書いているんだよ。」と言っていて、この文脈においては本の内容とむしろ正反対の主張をしている。当初の思い違いは別にいいとしても、著者も編集者もどうして本として出版する前に確認を取るくらいのことができないのだろうか?ちょっとググればすぐに該当のエントリは見つかるし、対談までしてるのだから本人に確認するのも簡単にできたはず。更には、初版出版後いくつかのブログでこの点は既に指摘されてるのに、手元の4刷でもまだ直ってない。(ついでに言えば、弾さんのブログですらスルーされている)

もう一つは、ニコニコ動画について。
おそらく、運営者のオフィシャルな発言としてニコニコ動画について語られたものは、書籍という媒体ではこの本が初めてだろう。だから、ニコニコ動画についてまだ詳しく知らない人に向けてのプロモーションとしての狙いもあるんだろうと思う。しかし、それを差し引いたとしても、書かれている内容がちょっとアンフェアに過ぎる。
この本では、YouTubeを他社の権利を侵害することて利益を得ていると非難する一方で、ニコニコ動画もまた著作権侵害コンテンツが蔓延していることには一切ふれていない。

P73 [3.0] 明るい未来への誤解を解くより。

著作権法上の処理をしっかりとしている企業(Gyao)がバカを見て、著作権を無視し広告収入を得ている企業(YouTube)に16億5千万ドルの値がつく。

そ知らぬ顔でYouTubeを非難してはいるが、どう考えても現在のニコニコ動画のやり方はGyaoよりもYouTubeに近い。というか、同じだ。今後、著作権的にクリーンなビジネスモデルが確立されたとしても、初期のニコニコ動画がクリティカルマスのユーザを得るために著作権侵害コンテンツを利用したという事実は消えることはない。

P66 [3.0] 明るい未来への誤解を解くより。

ニコニコ動画には、YouTubeと違い、動画に対してコメントを書き込むシステムが導入されています。ユーザーは、この機能を使って他のユーザーと会話がしたいだけなのです。お茶の間でテレビを観ながら友達と話しているとき、テレビに映っている映像が何であろうと関係はない。ニコニコ動画の場合も、ただ会話がしたい、ただそのネタが欲しいというだけであって、動画の内容はどうでもいいことが多いのです。

これも問題。コメントが動画の価値を高めるということは、自分自身実感しているし事実だと思うけど、動画の内容がどうでもいいわけがない。これは、動画の閲覧数/コメント数がロングテール状になっていることから明らか。一部の少数の動画が膨大なアクセスを集めている一方で、大半の動画はほとんどコメントもつかないまま埋もれている。つまり、ニコニコ動画においても動画の内容によって価値が決まることには変わりはない。そして、ランキング上位に現れるような人気コンテンツは、そのほとんどが何らかの形で著作権を侵害している(その恐れがある)動画だ。

「YouTube的な」やり方はグレーかもしれないが、少なくとも議論の余地はある。だけど、事実そのものから目を逸らしてしまったら何の進展もありえない。Googleの欠点ばかりあげつらって"Don't be evil."を皮肉るのは勝手だが、こういう文章を見せられるとニコニコ宣言が既に同じ過ちに陥りつつあるように思えてひじょうに残念だ。

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1 ひろゆきも本書くの好きだね
4 2ちゃんねるはあまりみないですが
3 さらっと読める。

2007年09月10日

「ウィキノミクス」を読んだ

各所で話題の本。来るべき未来の新しい概念を解説するのではなく、それらの概念が実現されていることをビジネスの事例とともに紹介する本。企業や国といった境界を越えたコラボレーションや消費者を巻き込んだ生産の形は、インターネットがもたらす未来として語られてきたけど、それらはもう既に現実のものになりつつあるという話。

ボーイング787の製造の35%を日本企業が担当したことが7月にニュースになったとき、「近いうちに純国産の航空機の製造が可能になるかも?」という論調の報道が多かったように思う。しかし、可能だからといって、そもそも純国産を目指すことが良いことなのかどうかという点から考え直す必要があるのかもしれない。

ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ
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5 人生観を問われる本
5 こんな本、大好きです。興奮します。未来の扉を垣間見える
5 wikinomicsとはどういうものか? 集合知の驚くべき発見

2007年09月04日

「風呂で読める文庫100選」を読んだ

呼んだといっても、100選のうちの1冊「タイムマシン」だけですが。

この「風呂で読める」シリーズの本はプラスチックで作られていて、水に濡らしたり沈めたりしても全く問題ないようになっている。長風呂する人が風呂で読むにはまさにぴったり。

ただ、ラインナップが大作ばかりなので(他には太宰治、夏目漱石、森鴎外など)、風呂だけで読み切ろうとすると、細切れになるしかなりの日数がかかってしまう。ショートショートとか詩集とか、もっと短くて連続性のないものの方が題材としては最適だと思う。同じ出版社の出しているお風呂で読めるスヌーピーシリーズなどはいいかも。

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2007年08月20日

『セキュリティはなぜやぶられたのか』を読んだ

ブルース・シュナイアーによる『暗号の秘密とウソ』に続く良書。同時多発テロでかつてない未曾有の恐怖を経験した米国が、そこから「恐れを乗り越えて」セキュリティというものを考えていくための手引きの本。しかし、誰が決めたのか知らないがこの邦題はひどすぎる(原題は『Beyond Fear-Thinking Sensibly about Security in an Uncertain World-』)。国内では先に刊行されている岡嶋裕史氏の『セキュリティはなぜ破られるのか』と酷似していて間違えやすい上に、筆者がこのタイトルに込めた信念を完全に無視している。マーケティング的にも何の意図も感じられないし、一体何をどう考えて決めたのかさっぱりわからない。

それはともかく。

この本では「セキュリティはトレードオフである」ということが一貫して述べられている。完璧なセキュリティなど存在しない。絶対的なセキュリティを求めると、極めて大きなコスト(金銭、時間、効率、あるいはプライバシーや自由の侵害など)を強いられることになる。恐怖に屈して完全無欠なセキュリティを求める弱い心は、いつの間にかトレードオフで大切な何かを犠牲にすることにつながってしまう。

安心感という感覚的なセキュリティではなく、実体的なセキュリティを考えよう。テロや凄惨な犯罪事件は人の恐怖心をかき立てるが、しかし実際の死亡リスクは、テロや犯罪よりも交通事故や日常的な事故の方が圧倒的に高い。自分にとって守るべきものは何であり、そのためにはどんなトレードオフを受け入れるか。変化し続ける世界の中で、日々理性的に考え続けていく必要があるのだろう。

第17章 セキュリティのベールをはがすより。

恐怖心は、無知と理解を分ける障壁である。身のすくむ障壁。すべて運命だとあきらめたくなる障壁。ばかなことをしてしまう障壁でもある。恐怖を乗り越えて進むとは、恐怖の束縛から知性を、常識を、想像力を解きはなつということだ。賢明なセキュリティを理解し、実現するという面でいえば、恐怖を乗り越えて進むとは、隠しだてせず、よく考えて、誠実にトレードオフを決めることを意味する。真のセキュリティは人の心にある。問題を想像し、予測し、解決しようとする心の中に。

セキュリティはなぜやぶられたのか
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5 リスク管理の検討には大いに参考になる
4 リスクと対策のバランスが肝要
4 セキュリティを分解して考える

2007年05月30日

『セキュリティはなぜ破られるのか』を読んだ

岡嶋裕史氏の『セキュリティはなぜ破られるのか』を読みました。基本的なセキュリティの考え方を知るための本としてはまずまずの本かと思います。

わかりやすさを重視しているためか、細かい話や具体的な技術は極力避けて説明されています。そのため確かにわかりやすいのですが、「では、具体的にどう対応するべきか?」という点ではほとんど参考にならないので、技術者やセキュリティ管理者にとってはあまり得るものはないかもしれません。「一般の人にセキュリティの重要性を説くために読ませる」用途に向いていると思います。

よく似たタイトルでシュナイアーの『セキュリティはなぜやぶられたのか』という本がありますが、そのうちにこちらも取り上げます。

追記:
とりあげました。→inasphere blog | 『セキュリティはなぜやぶられたのか』を読んだ

セキュリティはなぜ破られるのか
岡嶋 裕史
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2007年05月15日

『文章表現 四〇〇字からのレッスン』を読んだ

via:Life is beautiful: 「なぜブログを書くの?」、「もちろん、あなたのためです」

文字通り「創造的な文章表現」についての本で、おそらく小説などを書く人に最も有益な本でしょう。必ずしもブログ(特に技術系のブログ)においては全てがそのまま使えるわけではありませんが、それでも参考になる点はいくつかありました。

一つは経由元の中島さんも引用されている以下の部分。

よい文章とは、
①自分にしか書けないことを
②だれにでもわかるように書く

ということを実現している文章。(中略)私たちは、日々人間として生きていますが、生きていることの喜びの根底にあるのは自分がこの世にかけがいのないものとして存在するという自覚です。まず本人が自覚する。それから他人にもわかってもらう。そのとき私たちは喜びと充実感をもつことができる。文章表現の意味もここにあるのです。

全ての文章で通用する定義で、文章を書く理由についても見事にとらえています。自己主張であると同時に、それがいつかきっと誰かのためにもなるという思いが、私にとってのブログを書く動機です。

もう一つはメモについての考え方。

「自分にしか書けないこと」を見つけるために、まず最初にすべきことは、自分の中にことばをさがし、イメージや感覚を断片的なことばによって書きとめることです。普通これを、<メモ>と呼んでいます。<メモ>には、ほかに客観的な情報を書きとめたり、叙述の構想を書きとめたりすることも含まれますが、中心はなんといっても文章の内容を形成することば(断片)を時間をかけて蓄積することです。それをまじめに行うことが、よい文章を能率的に書く近道です。

メモを単なる記憶の補助のための書き付けとはとらえず、メモはそれ自体が作品であり、創造的行為であるとしています。意識的なメモのとり方をすることで頭の中が整理され、「それっぽい文章」(類型的なストーリー)を避けて本当に自分が書きたいと思っていることが浮かび上がってくる。これは日々自分と他者のブログの文章に浸る生活の中で、自分の伝えたいことを見誤らないために有益なアプローチだと思います。

文章表現400字からのレッスン
梅田 卓夫
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2 エッセイやショートショートを書く人向き
5 書くことは本来楽しい
5 ウェブ上で文書を書き続けるために

2007年05月14日

『クチコミの技術』のマーケティング実践

前回の『クチコミの技術』を読んだのエントリの続きです。「クチコミの技術」の本は、実際にクチコミマーケティングを実践しているところがポイントです。

『クチコミの技術』発売前のプロモーションについては、FPN-「クチコミの技術」に見るブログクチコミの威力メディア・パブ: 「ネット口コミ」の本をネット口コミで売りまくるが詳しいです。

発売後も出版記念セミナーを開催したり、公式ブログを用意して寄せられた書評や著者の活動を頻繁に紹介しています。

著者のお二方も、それぞれはてなブックマーク - ネタフルのブックマーク / aokみたいもん!クリッパーなどで書評や感想を集めています。11日深夜にアップした私の前回のエントリも、12日夜にはもうチェックしていただいていました。
別件ですが、以前にはてな伊藤直也さんのセミナーに行ってきたのエントリを書いたときも、いただいた300近いはてブのうち一番最初は伊藤直也さんご本人からのもので、セミナー翌日の午前中にはもうブックマークされていました。

情報を拡散させる技術と収集する技術。『クチコミの技術』は、それらを文中で解説すると同時にそれ自体で実践してみせた本だと言えそうです。

クチコミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング
コグレ マサト いしたに まさき
日経BP社 (2007/03/29)
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おすすめ度の平均: 4.0
4 ブロガーの視点から書かれたブログマーケティングの方法
4 Blogを用いたマーケティングを俯瞰できる。
リアルな世界でのクチコミについては記述ないので注意。
4 読ませる文章力こそ

2007年05月12日

『クチコミの技術』を読んだ

発売されてから大分時間が経ってしまいましたが、やっと『クチコミの技術――広告に頼らない共感型マーケティング』を読み終えました(公式サイト)。この本の中で特に印象的だったのは、「ブログのPVはロングテールである」、「良質なコンテンツは循環する」の2点でした。

ブログのPVはロングテールである
月間100万PVの[N]ネタフルでも、一ヶ月に5000PVを超えるようなページはわずか10ページ程度しかないそうです。PVの大半は、1万2千以上ものページへの少しずつのアクセスの積み重ねで、まさにロングテールとなっています。

良質なコンテンツは循環する
ブログを中心としたクチコミにおいては、良質なコンテンツは一過性の盛り上がりで終わらず、話題が循環し延々と続きます。この本の中では実例として、[mi]みたいもん!の中での涼宮ハルヒの憂鬱についての記事歯磨きについての記事が紹介されています。

これら2点を読んで、ブログに対する考え方が少し変わりました。これまでは、ブログのエントリは、(1)分野を限定し、(2)エントリの質の平均を高く保つべき(質の低いエントリならない方がいい)と考えていました。質が低かったり興味のない分野のエントリをたくさん読まされるのは誰でも嫌でしょう。ですから、RSSリーダなどでの安定した読者を得ることを考えた場合は上記のような条件は必須で、実際、いわゆるギークな方達のブログはこういう傾向のものが多いようにみえます。
しかしよく考えてみると、ブログを読みに来る人は何も最新のエントリばかりを読みに来るわけではなく、上記のネタフルさんの例のように、検索エンジン経由で過去のエントリを読む人もかなりいます。仮に月に3万PVを目標とした場合、何も毎日1000PVを稼ぐエントリを書く必要があるわけではないということです。
こう考えると、下手に分野を限定したり質の低下を恐れたりするよりも、まずはたくさんのエントリを書き続けることの方が重要な気がしてきます。本の中で「ブログが育つ」と感じられる第一歩として、「半年以上に渡り毎日更新する」「エントリ数が300を超える」「一日のPVが500以上になる」という3点が述べられています。これからは、まずはこれを目指すところから始めてみようと思いました。

最後に、本の中でも繰り返し述べられていることですが、企業でブログなりクチコミなりをビジネスで活用しようと考えているのなら、まずは絶対に自前のブログを運営してみるべきです。ブログを運営したことがない人がブログマーケティングを考えるのは、インターネットを体験したことがない人がネットビジネスを企画するのと同じくらい無謀な結果になるでしょう。

関連エントリ:
『クチコミの技術』のマーケティング実践

クチコミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング
コグレ マサト いしたに まさき
日経BP社 (2007/03/29)
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4 ブロガーの視点から書かれたブログマーケティングの方法
4 Blogを用いたマーケティングを俯瞰できる。
リアルな世界でのクチコミについては記述ないので注意。
4 読ませる文章力こそ

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